生前贈与
生前贈与とは
生前贈与とは被相続人が死亡する前に相続人等に財産を渡すことです。一番お手軽な相続税対策の一つとして、一般的に利用されています。
しかしながら、生前贈与の場合は相続税の代わりに高い税率の贈与税がかかりますので、さまざまな特例を上手に活用しながら行うこととなります。 ですから、相続に強い税理士に相談することが大切です。
生前贈与を行うに当たって、ポイントをご紹介します。実際に行うに当たっては、理解を深めておきましょう。
生前贈与の注意点
生前贈与の際の注意点として、次の4点を確認する必要があります。
・贈与税と相続税の節税額の分岐点を確認しておくこと
(贈与税>相続税 では意味がありません。)
・生前贈与が遺産分割のトラブルとならないように注意すること
・贈与契約書を作成し公証人役場で確定日付を取っておくこと
・相続開始前3年以内の相続人に対する贈与は相続財産として加算されることを確認すること
以上の4点です。
次に実際の生前贈与の方法を見てみます。
贈与税は暦年課税(1月1日から12月31日を一つの期間とします。)で、受贈者1人につき1年間に110万円の基礎控除が設けられています。
つまり、1年間で贈与を受けた額の合計額が110万円以下である場合には、贈与税は課税されず、申告も不要ですので、一番シンプルな生前贈与の方法だといえます。
生前贈与を活用した節税対策には、110万円の基礎控除を最大限利用することのほかに、特例を利用する方法があります。
1.贈与税の配偶者控除
・婚姻期間20年以上の配偶者からの贈与であることと、
・居住用不動産または、居住用不動産を取得するための金銭の贈与であること。
これらの贈与である場合には、2000万円まで贈与税が課税されません。
2.住宅取得等資金の贈与の特例
・住宅の取得等に充てるための金銭の贈与であること。
・親や祖父母から子や孫への贈与であること。
・贈与を受ける側の所得が2,000万円以下であること。
これらの贈与である場合には、最大で1,500万円まで贈与税が課税されません。
3.教育資金贈与の特例
・教育資金等に充てるための金銭を教育資金口座を開設し贈与すること。
・祖父母から30歳未満の子や孫への贈与であること。
これらの贈与である場合には、最大で1,500万円まで贈与税が課税されません。
相続税は、3000万円+法定相続人数×600万円という基礎控除や、配偶者税額軽減などの措置が設けられているため、それなりの遺産総額が見込みまれないと相続税は発生しません。従って、どんな場合でも生前贈与を行えば税制上効果を生むということではありません。
しかし、平成27年1月1日以後の相続税制においては、自宅不動産を保持しており、預金もコツコツと貯めておられる家庭であれば、相続税申告が発生する可能性が大いにあります。
相続税対策として生前贈与を活用するには、まず被相続人の資産状況の把握が必要です。
実は税金がかからない状況だったにも関わらず、一生懸命相続税対策を行っていた、ということでは意味がありません。
一度財産の試算を行い、生前対策の必要性を明確にしていただくことをおすすめします。
また、生前贈与には、他にも多数の手段がございます。私たちは専門家として、ご相談者様に最適かつ適切なアドバイスをさせていただきます。
是非ご相談ください
ここでは、生前贈与について詳しくご説明します。
暦年贈与や連年贈与についてや夫婦間の贈与についてご説明します。
暦年贈与と連年贈与
より節税効果の高い贈与をするために、正しい方法をお教えします。
相続時精算課税制度とは
相続時精算課税を選択した贈与者ごとに、贈与財産の価額が2500万円まで贈与税がかからないという特別控除受けることができます。
住宅取得資金の特例
直系尊属から住宅を取得する目的で資金援助をしてもらう場合、贈与税が大幅に軽減されます。条件は複数あるため、事前に調べておきましょう。
おしどり贈与(夫婦間贈与)の特例
婚姻期間20年以上の夫婦の間で居住用不動産やその購入資金の贈与が行われた場合に、一定の条件に当てはまれば、2,000万円(基礎控除と合わせれば2,110万円)まで贈与税がかからないという制度です。
負担付死因贈与契約とは
負担付死因贈与契約とは、「私が死ぬまで私の介護をしてくれたら、自宅の土地建物を譲る」というように、一定の約束を守ることを条件に財産を譲るという、贈与者と受贈者(贈与を受ける人)との合意のことです。
トラブルにならないためにも事前にどんなものか理解しておきましょう。