亡くなる直前に300万円以上の生前贈与を受けていたため、相続税の対象となってしまったケース
状況
お母様がお亡くなりになられたという京都市にお住いのAさん(子)からのご相談事例です。
家族構成:父(他界)・母(被相続人)・姉(相談者様)・弟
ご相談内容
ご相談者様の弟様が生前にお母様から生前贈与を受けていたようで、相続税の課税対象になるのではないかと不安に思われご相談に来られました。
ご提案
- 当事務所で、生前の預金の資金移動について確認したところ、お母様が亡くなる前に弟様が300万円の贈与を受けていたことが判明いたしました。
- 面談の際に、弟様が住宅を取得したことを伺っていたため、この300万円について詳しく調べたところ、
- 住宅取得の資金にするための贈与であることが分かりました。
通常であれば、相続開始前3年以内に行われた贈与は相続税の対象となりますが、住宅取得のための資金の贈与を受けていた場合は贈与税の申告をすることで、相続財産に含まれなくなります。
今回のケースは、住宅取得のための資金の贈与であり、贈与税の申告期限は翌年の3月15日までのため期限にも余裕があり無事に贈与税申告を終えました。
贈与税申告を行ったため、この300万円は相続財産に含まれなくなり、ご相談者様も安心していらっしゃいました。
今回の事例のポイント
相続開始前3年以内の贈与は相続税の対象となる?
贈与されてから3年以内に贈与者が亡くなってしまった場合、その贈与は無かったものと判断され、贈与された財産は相続財産と判断されます。
贈与税の非課税枠は110万円です。年間110万円以内の贈与であれば贈与税は非課税となります。
しかし、その贈与が相続開始前3年以内に行われた場合には、110万円以内であったとしても相続税の対象となります。
加算されない贈与もある
通常は相続開始前3年以内の贈与は相続税に加算されますが、今回の事例のように、全ての贈与が対象となる訳ではありません。
以下のようなケースの場合は加算はされません。
贈与税の配偶者控除の対象となる贈与
贈与税には、夫婦間での居住用不動産の購入資金などの贈与であれば、一定の条件に該当している場合は2,000万円まで非課税になる特例があります。
この特例の適用を受けた場合には、相続開始前3年以内の贈与であっても、相続税に加算されません。
直系尊属からの住宅取得資金のための贈与
一定の条件を満たした居住用の住宅を新築する場合などに係る費用を直系尊属(父母または祖父母)から贈与された場合に、最大1,200万円まで非課税となる特例(直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税枠)があり、この特例の適用を受けている場合には、相続開始3年以内に該当する贈与であっても、相続税に加算されません。
今回の事例のケースがこれに該当します。
直系尊属からの一括贈与
以下の2つの特例を適用した贈与の場合には、相続開始前3年以内の贈与であっても相続税に加算されません。
教育資金の一括贈与
直系尊属(父母または祖父母)から30歳未満の子や孫へ教育資金を贈与する際に、要件を満たしている場合には、最大1,500万円まで非課税となる特例です。
結婚・子育て資金の一括贈与
直系尊属(父母または祖父母)から20歳以上50歳未満の子や孫へ、結婚や子育てのための資金を一括贈与された場合、最大1,000万円まで非課税となる特例です。
まとめ
今回のケースのように特例を適用した場合には、相続開始前3年以内の生前贈与であっても相続税に加算されない場合があります。
生前に生前贈与を受けていて少しでも不安がある方は一度、相続税専門の税理士などにご相談することをお勧め致します。
当事務所は、相続税専門の税理士事務所であり相談実績4400件以上と豊富な実績がございます。
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