元気な今のうちだからできる「生前対策」:揉めない・困らない・損をしないための3本柱
「生前対策は資産家がやるもの」と思っていませんか?実は、相続トラブル(遺産分割調停)の約77%は、資産5,000万円以下の家庭で起きています 。驚くべきことに、そのうち1,000万円以下での争いも34.7%に上ります 。 つまり、相続対策は「税金を減らすため」だけでなく、残された家族の「争いを防ぐため」にこそ必要なのです。本コラムでは、有効な3つの対策について解説します 。
【監修:税理士 坂下美里】
1. 遺言書の活用(争族対策)
家族への最後のメッセージであり、法的な拘束力を持つのが遺言書です 。特に不動産が財産の中心である場合、遺言書がないと法定相続分で分けることが難しく、話し合いが難航しがちです 。
| 種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
| 自筆証書遺言 | 自分で全文書き、署名・押印する | 手軽で費用がかからず、秘密にできる | 形式不備で無効になる恐れ、紛失や偽造のリスク、検認手続きが必要 |
| 公正証書遺言 | 公証人が作成し、公証役場で保管される | 形式不備がなく確実。紛失の心配なし。検認不要 | 費用がかかり、証人2名が必要 |
最近では法務局の遺言書保管制度を利用すれば、自筆でも紛失リスクを防ぎ、検認を不要にすることもできます 。
2. 生前贈与の活用(節税対策)
生きている間に財産を移すことで、将来の相続税の課税対象を減らすことができます 。主に2つの制度があります。
- 暦年課税制度: 毎年110万円の非課税枠を利用する方法 。時間をかけて少しずつ贈与することで、大きな節税効果が見込めます 。ただし、2024年の税制改正により、亡くなる前「7年以内」に行われた贈与は相続財産に足し戻して計算されるルールに変更されたため、より早めのスタートが重要になりました 。
- 相続時精算課税制度: 累計2,500万円まで贈与税なしで贈与でき、相続時にまとめて精算する方法 。2024年からはこれに加え、毎年110万円の基礎控除も認められるようになりました 。
3. 生命保険の活用(納税資金対策・分割対策)
生命保険には、現金での相続にはないメリットがあります。
- 非課税枠: 「500万円×法定相続人の数」までが非課税となります 。
- 受取人の指定: 保険金は受取人固有の財産とされるため、遺産分割協議の対象から外れ、受取人がすぐにおろして葬儀費用や納税資金に充てることができます 。
「動き出せていない」という現実
アンケートによると、生前対策を実際に行っている人はわずか10%程度です 。多くの人が「そろそろ相続について考えないといけない」と思いながらも、きっかけを掴めずにいます 。 生前対策は、判断能力がしっかりしている「元気な今のうち」にしかできません。まずは自分の財産をリストアップし、家族の将来について考えてみることから始めてみませんか?































